三回目:物質の循環・いまここにある事の不思議

元素は小さな小さな砂粒のようなものである。 我々の体は、日々、周囲の環境から元素を吸収し、また放出している。そんな絶え間ない物質の流れの中でも、身体というものは、同じ形を保ち続ける。

「形」というものは、元素というフィルムが悠久の時間の中に映し出す映像、あるいは幻影のようなものなのかもしれない。

元素は世界を巡り続ける。時に風になり、時に水になり、時に鳥や魚になり、ゆったりと世界を巡り続ける。

自分を構成する砂粒も、かつては英雄と呼ばれた人の一部だったかもしれない。あるいはプランクトンだったかもしれないし、ブラキオサウルスだったかもしれない。

自分もまた、大いなる時と砂の流れの一部なのだ。

contact info