五回目:挑発するメディア・総合芸術としてのWEBデザイン

Webサイトという媒体は、作成する者としては非常に面白い対象だと、このサイトの運営を通して実感する。

ただ始めて、とりあえず見られるページを作るだけなら、実に簡単な技術だと思う。実際、作るだけならWordだって十分に可能なわけで、それだけでも、Windows、Macintoshを問わずとりあえず読めてしまうのだから。

しかし、こだわりを持って作ろうとすると、非常にたくさんこだわり所のある媒体でもある。 きれいで印象的な見栄えにしたい、イメージ通りの表現をしたい、見る人にとってストレスの少ないページにしたい、最新のテクノロジーを使ってみたい等々、実現したいことは次から次へと出てくる。

これらのこだわりを踏まえてページを再構築しているときに痛切に感じたのは、芸術と技術のバランスがいかに重要かということだった。

以前のぽもぞ。をデザインするときは、審美的な部分をあまり考慮せず、新しい技術を取り入れようとばかりしてしまい、なおかつ変に玄人ぶって全てタグを打っていたので、手間はかかっているが見栄えがいまいちな、技術偏重なページだったように思える。

その反省を踏まえ、今回のデザインを作成した。

前のデザインに決定的に欠けていたのは美術的な要素だと痛感していたので、新しくグラフィックソフトの使い方を覚えて、自分で全ての画像を描くことにした。小さい頃から感じていた、表現したいイメージは頭の中にあるのにうまく表現できないというもどかしさを少し克服できた気がする。

頭の中にあるレイアウトを、自分の環境でのみ再現するのならあまり苦労はしないのだが、公開する以上は自分のイメージをより正確に伝えたい。また、文章の多いサイトだけに、読み易さも追求したい。
これらを実現するためには、タグの知識や、パソコンの表示の仕組みなどの技術的な部分がどうしても必要になってくる。

このように、Webサイト一つ構築するだけでも美術的・技術的な要素はどちらも不可欠であり、そのバランスを踏み外すと、最悪の場合、ガタガタに崩れたページになったり、機能ばかり押しつけがましく、結局みづらいページができあがってしまうのだと思う。

ただ、自分でいくら満足のいくデザインができたとしても、それに評価を与えるのは読者であり、その評価は大抵、作者が考えているよりもずっとシビアなわけで(読者は、醜いサイトには見向きもしない)、そのピリリと辛い現実もデザインを考える上で大いに参考になるし、何より制作意欲をかき立てる大きな要素になる。

美術と技術が危ういバランスでせめぎ合い、かつ融合し、しかも読者からのダイレクトな反応があり、一人でもトータル・プロデュースが可能で、なおかつ個人でも十分に手の届くところに必要な物は全てある。

自分には、Webというメディアが「何が欠けててもだめなんだ、果たしてお前には全部出来るかい?」と挑発してきているように思えてならない。

ここまで創造意欲をかき立てる刺激的なメディアは、そうそう無いと思う。

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